動機 - がんばれー自分

「目撃者に来てもらって、容疑者を確認してもらうこともある。しかし今日はあの向こうには誰もいない。面通しの必要はもうないわけだからね」フェランが青いファイバーグラス製の椅子の背にもたれた。ボイルは手帳を開き、ビックのボールペンを取り出した。フェランより体重で二十キロは勝っている。しかも勝っている分のほとんどは筋肉だ。それでもボールペンは、念のため、フェランから手の届かない位置に置いた。

・・・・・そうさ、僕がその女を殺した。

「一月近く前から面会を申し入れていたんだが」ボイルは砕けた調子で言った。「今日まできみに振られ続けていた」

量刑の言い渡しは月曜に予定されている。判事はいまごろ二つの選択肢からいずれかを選ぼうとしているだろう。終身刑化、薬物注射による死刑か。どちらが言い渡されるにしても、ジェームズ・キット・フェランはこの群に永遠の別れを告げ、州のもてなしを受けることになる。「”面会”か」フェランがボイルの言葉を繰り返す。おもしろがっているような表情をしていた。「これは”取り調べ”じゃないのか？　あんたが来たのはそのためだろう？」